2018.09.20 Thursday
半歌仙「探査ロボ」
7月7日、七夕の日に夏の連句会を行いました。
皆さんの都合を考えてこの日になったのですが、春も3月3日ひな祭りの日でしたし、今年はなぜかこういう日に縁があるみたいです(笑)。
さてこの日、集まった人で発句を考えはじめていたところ、ゆほさんからメールで遅刻の連絡がはいりました。
電車を乗り違えてしまったとのこと。その後、メールで送っていただいた発句が面白く、そちらを取らせていただき、脇には乗り違えてしまった悲しみを受けた句をつけました。
ロック、かかし、探査ロボ、台風となかなか面白い句が並んでいたところに、パンツの句。ここでかなり盛り上がりました。パンツから始まった恋の座が、時間の不思議さへと移り変わり、カルトをよんだ時事句に。そのあとの「置き去りの葱」とのつけ合いがたいへんよく、続く「覚悟のほどを問う寒月」も、なんに対する覚悟かはわからないけれど、とても良い句だなあ、と感じました。
その後も、父と息子から、息子の号泣が変化したかのような人穴、あの世とこの世をつなぐかのような花。最後、水とともに走るわたしの姿もうつくしく、心安さが滲み出たような良い一巻になりました。
連句も同じ連衆で何度も巻いていると、最初は他人だった人たちが次第に親しくなり、その人の背景をよく知らないまま打ち解けてきます。慣れない者同士で巻く緊張も良いですが、慣れた者同士で巻くのはやはり落ち着いていいなあ、と感じました。
半歌仙 探査ロボ 捌 ほしおさなえ
夏空のずっと遠くに地下の駅 ゆほ
かなしみ少し浮くソーダ水 さなえ
帰り道ロックばかりを歌ってて 雨水
かかしの横でひとやすみする しおね
月の砂拾い集める探査ロボ J
台風過ぎて何もない庭 なおこ
新しいパンツをヨメがディスる秋 やん
眠れぬ夜のお守りは君 水色
時差あればふたつの時間内包す ゆ
クルクルまわる日めくりを見て 月
幕引けどカルトの闇は残りをり 水
待合室に置き去りの葱 や
寒月が覚悟のほどを問うてくる な
卵酒飲む父の横顔 J
息子泣く「それでもやっぱりまだ子ども」 し
大蛇出づと言いし人穴 月
生前も死後も花見をしておりぬ ゆ
はだら野かける水も私も 雨
2018年7月7日 於・ライフコミュニティ西馬込